デイトリップ

中標津空港から知床ねむろをふらっとドライブ旅

空気もピリリと冷たくなり、東京はこれから紅葉が始まるという頃。
こちら北海道の最も東側の地域である「知床ねむろ」では、落葉樹はみな葉を落とし、ただじっと雪が降るのを待っていた。

東京から引っ越してきて、一年。
ずっとこの場所に旅行にくるのが好きで、いつかはここに住んでみたいなとずっと思っていて。
心の中で考えていたよりもそのタイミングは早く訪れて、まるでなにかに呼ばれるようにして気がついたらちゃんと住んでいた。

仕事や友人関係はもちろん、植わっている街路樹、公園に集まる鳥たち、慣れない運転で目にする景色。
日常で触れるすべてのことが私にとって新しい出会いになった。

これからは2周目の季節。10月を過ぎると越冬のためシベリアからオオハクチョウがやってくる。
そのオオハクチョウの編隊が空を横切る様子が、これから始まる長い長い冬を思い起こさせた。

もう冬が来る。
その前に少しだけ、東京から一時帰省したその足で、根室中標津空港から車を走らせてみようと思う。

旅の玄関口 根室中標津空港から

北海道でいちばん東側の空港となる根室中標津空港は、新千歳空港より3便、羽田より1便の発着がある。
知床ねむろエリアを拠点とした観光に便利な空港。駐車場が無料なのも嬉しい。

根室中標津空港
1Fにレンタカー窓口があり車を借りることができます。
駐車場 普通車375台 うち身障者用2台 思いやりゾーン16台

根室中標津空港から車で20分、中標津の景勝地、開陽台へ向かう

開陽台へ向かう中標津町道北19号は「ミルクロード」と呼ばれている。
周囲は草原が広がり、牛乳を運ぶタンクローリーが多く往来することからこのような名前がつけられたんだとか。
北海道内屈指の広大な酪農地帯を一望できるスポットとして、知床ねむろエリアの観光では有名であるが、実は私はまだ行ったことがなかった。
実際に訪れてみると、想像以上のアップダウンで驚く。特に下りはジェットコースターのよう。
運転が好きな方は絶対にワクワクするはず。

ミルクロードを通って標高270mの地点にあるのが開陽台。
牧草地を柵のように囲っている「格子状防風林」。
こちらは明治時代以降整備されたもので、濃霧や吹雪などの悪天候による視界不良から守ってきた歴史がある。
2001年に北海道遺産へ認定されていて、気候に合わせて作られた特異な景観は一見の価値あり。

ツルウメモドキの実がついていた

開陽台展望館
※屋外展望施設は通年利用可能
4月下旬~10月31日 9:00~17:30
営業時間 10:30~17:00まで(10月は10:30~16:00まで)
休業:11月1日~4月下旬  休館:2021年4月29日 9:00~17:30
祝日を除く毎週月曜日は休館

道道244号を走り、話題のカフェへ向かう。

TOMARI STAY&CAFE

オホーツク海に面した場所にポツンとあるTOMARI STAY&CAFE。
この日は少し風があるけれど、比較的穏やかな海を望むことができた。
北方四島のひとつである国後島がすぐ目の前にある。
知床ねむろエリアに入ると、北方四島に関する看板や施設が増えることでここがそこに近いエリアだということがわかるが、国後島そのものをみるとより実感が湧いてくる。

オーナーの亀田さんはここ標津町の出身。
コロナ禍をきっかけに地元に戻り、物件を探して夢であったお店をオープンさせた。
オープンしてまだ日は浅いということだが、「絶景を前にカレーが食べられる」と話題となり、道外からも既にファンが集う場所になりつつある。
お腹も空いてきたので、ここでランチにしたいと思う。
TOMARI STAY&CAFEでは日替わりでスパイスカレーを販売している。
この日は「標津カレー」を注文した。

ライスの上にいくらがのっているのには驚いた。
グリーンカレーは通常鶏ガラが使われるが、こちらはこの土地で手に入る食材にこだわり、尾岱沼の北海しまえびの殻、鮭節、羅臼昆布から出汁をとっているという。
そして仕上げに標津のいくらをトッピング。いくらをカレーに浸してから食べるのがおすすめだ。

「この地で獲れたものを混ぜたら、合うんじゃないかと思ったんです」という亀田さんの言葉の通り、知床ねむろの海の恵みが凝縮されたグリーンカレーに、ぷちっと弾けたいくらが不思議なほど溶け込む。
カレーは日替わりなので、来るたびに異なるメニューをいただけるのも楽しみだ。

亀田さんが「実は一番おすすめ」と話すコーヒーは、ハンドドリップで時間をかけて丁寧に淹れられ、豆は3種類から選ぶことができる。
甘みのあるパプアニューギニア、酸味が特徴のエチオピア、苦めが好きな人には深煎ブレンドがおすすめ。

いつもは苦めのものを選ぶが、亀田さんの「チョコっぽい感じですよ」という言葉に惹かれ、パプアニューギニアの豆にしてみた。
こっくりとした甘みが寒い冬にぴったり。
コーヒー好きにはぜひ味わっていただきたい。
ゴールデンウィークや夏休みには車中泊STAYとCAFEでの飲食を楽しむことができる。
国後島のうらから昇る朝日がとても美しいそうだ。


右手にオホーツク海を眺めながら海岸線を走り、羅臼方面へ。

崖を背に根室海峡に面した羅臼町は、道東を代表する漁師町のひとつだ。
地元の人たちが「ごめ」と呼ぶオオセグロカモメがたくさん飛んでいて、海岸の砂浜やプレハブの屋根の上をびっしりと埋め尽くしていた。

Jappina Cafe

羅臼の街中でかわいいカフェを見つけた。
明るく華やかな店内で陽気なオーナーが迎えてくれた。

注文したのはダルゴナコーヒー。
コーヒーと砂糖で泡だてたふわふわのクリームを下のミルクの層と混ぜていただく。

抹茶味も。

ピンキーという愛称でお客さんから親しまれているオーナーの飯塚さんは、およそ30年前にフィリピンから羅臼に来られたという。
2年前に、長年の夢だったカフェをオープンしたとのこと。
店名のJappina とは、フィリピン人を表すPhilippina にかけて日本のことも好きだからとその名前がつけられている。
お客様のご要望に合わせていくうちにメニューが増えていって、手作りのケーキは地元高校生に人気ですぐ無くなってしまうそうだ。

コーヒーをいただいていると、羅臼に住んでいる友人に遭遇。彼女も私と同じ移住者のひとりだ。
羅臼で数少ないカフェであるJappinaにはよく来るそうで、「ピンキー」と親しげに話すその様子にほっこりした。

「ここでゆっくりコーヒーを飲んで、明るい気持ちになって帰ってくれたら嬉しい。みんなの憩いの場になることが私の幸せ。」
まっすぐな瞳でそう語るピンキーが、とっても魅力的。
ちょっぴりパワーが落ちている時、ここに来たらきっと元気が出そうな気がする。

知床ねむろの冬は日が短い。
15時を過ぎると薄暗くなってきた。

標津町ポー川史跡自然公園

道東に越して以来、ずっと来てみたかった場所に行ってみることにした。
遠くまで見渡せる湿原の景色が道東らしい。

標津湿原を含む標津町ポー川史跡自然公園は、縄文時代早期から約800年前以降のアイヌ文化期に至る竪穴式住居群などをみることができ、その規模は日本最大の遺跡群とも言われている。

公園にはビジターセンターも併設されていてとても見応えがある。
スタッフさんによると、史跡自然公園とこのビジターセンターをじっくり見ながら回ると、3時間ほどかかるとのこと。
また春になったら、ぜひゆっくり周りに行きたいと思う。

標津町ポー川史跡自然公園
北海道標津郡標津町字伊茶仁2784
開園時間 9:00~17:00(入園は16:30まで)
開園期間 4月29日~11月23日(開園期間中無休)
入園料 ビジターセンター内の利用は無料
開拓の村・遺跡エリアご利用の際は下記の入園料が必要です。
一般:330円、大学生・高校生110円、中学生以下無料 ※20名以上は団体割引として半額となります。

居酒屋「旬花」

中標津へ戻り、居酒屋旬花へ向かう。

中標津市街にある和食の居酒屋「旬花」は、カジュアルで女性ひとりでも訪れやすい雰囲気。
おでんや天ぷら、蕎麦、串などの焼きものなど、道東エリアの旬の食材を使ったお料理が魅力だ。

ごたっぺは氷下魚(コマイ)の稚魚で15cmほどのものをそう呼ぶ。氷下魚は根室周辺の海域で多く水揚げされ、北海道の冬の珍味だ。
こちらは一夜干しの炙り。裂きながら頂くようだが、初めて食べるのですこし手こずっていたところ、食べ方を教えていただいた。

中標津市街は宿泊施設が多く、お酒を頂いて一泊していくのも◎

右から、焼きごたっぺ、いかゴロ醤油焼き、鴨入り揚げ出し豆腐。焼きごたっぺは一味マヨに付けて。

カウンターでお料理を作られているところを見ながらお酒をいただくのも良いかも。日本酒の種類も豊富。

旬花
住所:北海道標津郡中標津町町東2条北2丁目3−5
営業時間:17:30〜22:00
定休日:日曜日

中標津から知床ねむろエリアを巡って

東京に住んでいた頃、ずっと遠くまで広がる湿原の景色や、シベリアのアムール川からオホーツク海に流れ着く流氷に心惹かれて、定期的にこの知床ねむろエリアに足を運んでいたことを思い出した。

たまには自分の住んでいるまちを飛び出して、今いる場所とちょっぴり違う世界を覗いてみる。スケールの違う雄大な自然を見て、人の温かみに触れる。
一度行ったことがある場所でも、新しいスポットができていたり、天気や季節が異なるとまた新しい発見があるかもしれない。
知床ねむろには旅がたくさん隠れている。

ライター |

北海道好きが高じて、2021年に横浜市から弟子屈町へ単身移住。憧れだった摩周湖の麓での暮らしを綴っています。

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北海道の東、道東地域を拠点に活動する一般社団法人ドット道東の編集部。道東各地域の高い解像度と情報をベースに企画・コンテンツ制作をおこなう。自社出版プロジェクト・道東のアンオフィシャルガイドブック「.doto」などがある。

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