コラム

北海道在住の温泉ソムリエが厳選! 泉質よし、絶景あり、個性派揃いの知床ねむろ温泉旅

はじめまして、温泉ソムリエの今(こん)と申します!

わたしは昔から大の温泉好きでして、いままで自らの足で北海道の温泉を中心に巡り、楽しんできました。さまざまな温泉宿や銭湯をはじめ、時には、標高1,000m以上の位置にある温泉に自力で歩いて辿りついたり、沢を登った先にある滝つぼの温泉に行くために這いつくばったり、熊が生息する森を歩いて野湯と言われる無人の秘湯に入浴したり。温泉のためなら妥協をしません!

元々釧路市出身で、札幌生活が長く続いたのですが、豊富な温泉資源がある道東に移り住みたいと、温泉のために2019年に移住を決意。帯広に移住し、平日は帯広の街中の温泉に入り浸り、休日は道東の各地の温泉を求めて放浪する生活をしています。

と、そんなこんなで北海道・道東の温泉を入りまくっているわたくしが、知床ねむろエリアの温泉事情を紹介する、そんな企画の相談をいただいたのです。なんてありがたい、天からの仕事!ありがとうございます!

ということで、知床ねむろエリアで必ず温泉に入ってほしい!という思いを込めて、9つの温泉施設をピックアップしながら紹介を進めさせていただきます。

まずは知床ねむろエリアの温泉の特徴を!

・泉質が個性派揃いで多種多様!飽きない!
温泉でまず大事なのは泉質!知床ねむろエリアにある温泉は「これ!」という特徴で語るのではなく、とにかく多種多様の個性派揃いなんです。塩化物泉や、香しい硫黄泉、やさしい単純泉、モール温泉まで多様な泉質が迎えてくれます!

・ロケーションビューは最果ての地
最東端の地域らしく、風情あるオーシャンビューの露天風呂がたくさん。内陸では自然の中や牧場が隣接していたりと、北海道らしさを味わうことができて魅力たっぷり。今回は、そんな知床ねむろエリアの温泉を紹介していきます。

・大きくないけど、人の温かみでもポカポカに!
大きな温泉街やチェーンホテルはこのエリアにはありませんが、温泉や人の温かさが身に染みる、人情味溢れる温泉宿が多く、想い出深い旅となることでしょう。

みなさん準備はいかがでしょうか?それではいきましょう!


中標津編

まずは知床ねむろエリアの玄関口である中標津から! 人気の養老牛温泉を始め、実は意外と穴場の温泉地なのです。

①『湯宿だいいち』北海道らしさを味わう贅沢時間

温泉好きに「北海道らしい温泉宿は?」と尋ねると、必ず候補に挙がると言っても大袈裟ではない老舗温泉旅館『湯宿だいいち』をまずは紹介します!中標津町の郊外、山の中を車を走らせていると、自然あふれる中に温泉宿が佇んでいるんです。

先に露天風呂をお見せしますがこんな感じ!伝わりますよね!

早速、温泉に浸かりに行きましょう!


既に雰囲気がすごくよくないですか?内湯は全てヒバ造りで、柔らかな香りと湯が肌を包み込んでくれます。桶や椅子も木製で、温泉は「香り」も楽しむものだと私は考えているのですが「温泉の香り×木の香り」もうこれが最高です。
肝心のお湯は無色透明の自然湧出する源泉を配湯し、かけ流しています。

そしてそして露天風呂は野趣溢れんばかりの湯船が多彩。渓流沿いに造られた川の高さと同じ混浴露天風呂をはじめ、岩風呂・寝湯・丸太風呂・ミストサウナがあり、まるでここはお風呂の「湯園地」。

最高だ!最高だ!!
あ、すいません。取り乱しました。

写真を見てもらった通り、露天風呂って塀で囲まれているところがほとんどだと思いますが、ここは塀がなく、自然との隔たりがないところが抜群にいいんです。温泉に入りながら、自然と同化しているような感覚を味わうことができます。

また、宿泊者専用風呂、貸切風呂、露天風呂付き客室も備えています。

そしてもう一つ!サウナは男女ともにオートロウリュを最近導入したそう。本格的なサウナも楽しめることもでき、常に進化し続ける姿勢に、ただただ感服するばかりです。
水風呂は地下水かけ流しで文句なし。外気浴は川のせせらぎと鳥のさえずりがBGM。サウナーも文句なしの環境でととのえることができます。夜には、先住アイヌの人々からコタン・コロ・カムイ (村の守護神)と崇められてきた、天然記念物のシマフクロウが飛来し窓越しに見れることも。

自然の中でゆっくりと流れる時間を感じさせてくれる空間が、北海道らしい湯宿と言われる所以を感じる、納得の温泉宿です。

湯宿だいいち
住所:北海道標津郡中標津町養老牛518
電話番号:0153-78-2131
日帰り:13時~15時まで(16時退館)週1回大掃除あり(要電話確認)
※夜の日帰り入浴は受付しておりません。

②『中標津保養所温泉旅館』熱めのお湯が楽しめる素朴で最高な温泉旅館

中標津の温泉旅館をもう一件は、中標津町市街地から少し離れた閑静な場所に立地する、「中標津保養所温泉旅館」をご紹介します!

この温泉、源泉かけ流しの「熱めの湯」が楽しめます。温泉好きの中にはとにかく「熱さ」を求める方もいると思いますが、ちょうどいい感じの熱めのお湯が楽しめると思います。
泉質は弱食塩泉という良く温まる湯なんです。


ちなみに弱食塩泉とは温泉の主成分が塩化ナトリウム、すなわち「食塩」である温泉なのですが、食塩含有量が温鉱泉1キログラム中5グラム以下を弱食塩泉といい、神経痛・冷え性に効くと言われている泉質のことを言います。熱いのはちょっと……という方も大丈夫。

ここは「自噴の天然水」が湧き出ていて、その天然水を加水したぬるめの湯も楽しむことができます。温泉と天然水のコラボ。これも私的には最高です。

そして露天風呂もあります!

露天風呂はぬるめでゆっくりできます。露天風呂に入っていると時々、牛の鳴き声が聞こえるのはここならではなのです。施設は清潔に保たれ、シンプルながら良質な泉質で温泉ファンからの満足度も高いのです。併設する食堂もとても美味しいので、宿泊&温泉もぜひ堪能してみてください。

※温泉設備故障のため、令和4年3月現在は温泉の利用停止中です。温泉以外は利用可ですが、訪れる際は公式サイトを確認してから利用してください(再開が待ち遠しい!)

中標津保養所温泉旅館
住所:北海道標津郡中標津町東20条北8丁目
電話番号:0153-72-0368
日帰り:7:00~21:30

標津編

根室海峡に面している標津。その市街地の宿泊施設に併設されている温泉を紹介。サラサラツルツルになる美肌のお湯が特徴的で、とても入りやすい優しいお湯が特徴なんです!

③『標津川温泉ぷるけの館 ホテル川畑』 保湿効果のある温泉が湧き出る温泉ホテル

まずは、標津市街地にあるホテル川畑です。

画像提供:ホテル川畑

旅館名にある「ぷるけの館」の「ぷるけ」とはアイヌ語で「湧き出る」を意味する単語。まさに温泉のために名付けた館なのです。源泉名は標津川温泉/美泉の湯といい「ツルツルサラサラ」を体感することに!
では、浴場に向かいましょう。こじんまりとした浴場で内湯と露天風呂が一つずつ備えています。

画像提供:ホテル川畑

露天風呂は木漏れ日が入ってくるので、早朝入浴がより最高なんですよ。
湯の浴感はPHという数値が高く=やわらかくてとても入りやすい温泉です。保湿効果もありお湯に浸かると肌がツルツル感を感じ、そして浴後はサラサラになる良質な温泉なんです。特に女性が喜んでくれるお湯だと思いますよ。
特別室はバリアフリーとなっていて、浴室では源泉かけ流しの温泉が堪能できるので、ファミリーにもおすすめです。

標津川温泉ぷるけの館 ホテル川畑
住所:北海道標津郡標津町南3条西1丁目1-3
電話番号:0153-82-2006
日帰り:7:00~9:00、14:00〜20:00

④『オホーツク温泉 ホテル楠』公衆浴場も兼ねるツルツル美肌の湯

さてさて、次も標津の市街地。ホテルに併設されている公衆浴場で、まさに銭湯!地元の方も多く利用しており、地元の雰囲気を感じるには最適かもしれません!

画像提供:ホテル楠

ここの温泉はちょっと面白い形をしており真ん中に浴槽があり、周りにシャワーが並ぶんです。なんかちょっとプールみたいな雰囲気!
泉質はアルカリ性単純温泉で、源泉かけ流し、湯の色は透明でサラサラのお湯です。なんと贅沢にもシャワーも温泉を使用しています!シャワーの段階で少しサラサラが味わえるので、お湯だけで綺麗になった感覚に!

画像提供:ホテル楠

ちなみに温泉名がオホーツク温泉というらしいのですが、標津に面する海は「太平洋」ではなく「オホーツク海」だからだそう。聞くまで知らなかったです。宿の食事は絶品の海鮮料理が味わえて、温泉と料理のセットでリピーターも多い温泉宿。ぜひ一度、訪れてみてください!

オホーツク温泉 ホテル楠
住所:北海道標津郡標津町南8条西1-4-1
電話番号:0153-82-3411
日帰り:平日 15:00~21:00、祝祭日 13:00~21:00

羅臼編

続いては知床半島の東側に位置する羅臼。このあたりはクセが強い温泉が勢揃い。海が目の前にひらけてワイルドな「野湯」なんかもあり、いくつも紹介したい温泉があるのですが……今回は2件の温泉を紹介していきます。

⑤『羅臼の宿 まるみ』国後島から昇る朝日を見ながら浸かる感動の湯

まずはここの温泉の何がいいかって!太平洋が目の前のロケーション抜群の温泉宿なんです。

内湯は、幻のきのこといわれる『カバノアナタケ』から抽出したチャーガ湯と呼ばれる免疫力を高める効能がある湯があります。カバノアナタケは北海道、ロシアなどの厳寒の地で、白樺の幹に寄生するキノコでめったに採れないことから「幻のキノコ」「森のダイヤモンド」と言われています。

貴重なお湯、ぜひ一度体感みてほしいです!

露天風呂は自家源泉を加温した湯が一つと、約22℃の含硫黄・ナトリウムー塩化物冷鉱泉をそのままかけ流している源泉湯が一つあります。硫化水素臭と、石油のような香りが印象的です。源泉湯はサウナ後の水風呂代わりにも良いです。

太平洋が目の前にあり、国後島から昇る朝日を見ながら浸かる湯は感動的です。おすすめは秋の夜。根室海峡にイカ釣り漁船の漁り火が並び、これまた幻想的なのです!

羅臼の宿 まるみ
住所:北海道目梨郡羅臼町八木浜町24番地
電話番号:01538-8-1313
日帰り:14:30〜20:00

⑥『陶灯りの宿 らうす第一ホテル』世界遺産に佇む、硫黄臭漂う温泉旅館

大自然溢れる知床横断道路に向かう途中、だんだんと硫黄臭が漂い、ぽつんと温泉旅館が現れます。

らうす第一ホテルには、ぬる湯と熱湯の2つの内湯と露天風呂が1つあります。

山の中にポツンとある、大きな池のような露天風呂も最高です。「自然」を感じながらゆったり浸かりましょう。

ここの温泉は源泉が少々熱すぎるので、井戸水を加えて調整し硫黄泉が源泉かけ流しで注がれます。地中から湧出した湯は酸化し、時間とともに湯色は変化します。温泉は生ものであることを実感する湯です。有名な野湯『熊の湯』と同じ泉質なので、熊の湯に行きづらい人、熱くて入れない人はここで温泉が楽しめます。

なかなかワイルドで、他にはない温泉を楽しむならここが一番かもしれませんね!

陶灯りの宿 らうす第一ホテル
住所: 北海道目梨郡羅臼町湯ノ沢町一番地
電話番号:0153-87-2259
日帰り:13:00~21:00

別海編

別海の内陸側に大きくまたがる「根釧台地」の下には泥炭地が広がっており、このエリアにはいくつかモール温泉が湧き出ているのが特徴です。モールとはドイツ語で「泥炭」を意味する言葉で「植物性の由来」の温泉と言われています。植物性の腐食質が主成分となっており、地下には遥か昔の樹木の堆積物があり、その発酵熱や地熱が熱源となっているのです。

モール温泉は「植物性」ということもあって茶褐色のお湯が特徴です。

⑦『ペンション クローバーハウス』酪農王国にある上質モール温泉

そんなモール温泉を楽しむならまずここの温泉。別海の内陸側・西部にある、アットホームなペンションの温泉です。

画像提供:クローバーハウス

ナトリウムー塩化物・炭酸水素塩泉の源泉をふんだんにかけ流す、良質のモール温泉。モール温泉といっても同じ泉質はあまりなくてそれぞれの温泉で個性があるのですが、ここの温泉は別海の牛乳と同じように、新鮮で濃厚。ほのかに硫黄の香りもします。私も大好きなモール温泉のひとつです。

内湯は横長の浴槽、サウナ、水風呂で、シャワーからも源泉そのままを使用しています。

画像提供:クローバーハウス

露天風呂からサイロが見えたり、牛の匂いが漂ってくるのも、人口より牛の頭数が多い別海町ならではの体験ですね。

画像提供:クローバーハウス

風呂上りにはソフトクリームも是非。良質な土壌から、良質な牛乳とモール温泉が生まれるのです。

ペンション クローバーハウス
住所:北海道野付郡別海町西春別95-3
電話番号:0153-77-1170
日帰り:11:00 〜 21:00

⑧『尾岱沼温泉シーサイドホテル』最も早く日の出を迎えるオーシャンビュー露天

続いては別海エリアでも「海沿い」の温泉をご紹介します。次は絶景!

画像提供:シーサイドホテル

尾岱沼(野付半島)が目の前の温泉宿です。内湯でしっかり温まり、露天風呂で尾岱沼からの潮風でほてった体を冷まし、冷えてきたら湯船に浸かるのを繰り返す、「尾岱沼温泉式交代浴」がとても気持ちよくて、おすすめです。

そして、露天風呂に!見てくださいこの絶景!!

画像提供:シーサイドホテル

ここは日本で最も早く日の出を迎える露天風呂と言われていまして、オーシャンサンライズビューが贅沢に味わえるお湯。厳冬期の一番風呂には自然現象の「四角い太陽」に遭遇することもあります。

画像提供:シーサイドホテル

そして、景色は太陽だけではなく夏と秋には、尾岱沼の名物打瀬舟による北海シマエビ漁」という漁師の生業を目の前に見ながら温泉に浸かるなんてこともできたりするんです。

どの温泉でも言ってしまっていますが、本当にぜひ一度訪れてみください!

尾岱沼温泉シーサイドホテル
住所:北海道野付郡別海町尾岱沼岬町29番地
電話番号:0153-86-2316
日帰り:13:00~20:00

根室編

そして最後は日本最東端の街、根室。根室には「温泉」がないのですが、根室市では私がおすすめする銭湯を紹介したいと思います!ここも最高で昔から漁師町として愛された「銭湯」があります。

⑨『みなと湯』日本最東端の銭湯サウナでととのえる

紹介するのは日本最東端の銭湯・サウナである「みなと湯」。最果ての地で愛された銭湯です。

画像提供:みなと湯

自然に湧く温泉ではなく、温泉鉱石を利用した「準天然温泉」をうたう銭湯です。温泉鉱石とは、温泉成分を含んだ温泉鉱石を使用しお湯に浸透させることをいい、温泉の成分も含めたお湯が楽しめるのがみなと湯の準天然温泉なんです。効能も腰痛や肩こりなど温泉と同じような表記があります。

6種類のお風呂は「普通」「熱め」「ジャグジー」「露天風呂」「水風呂」など多様な浴槽があり、どんな人でも楽しめる環境を整えています。また「サウナ」もあり。コンパクトなスーパー銭湯のようなイメージです。

根室にいく際はよくここを利用するのですが、地元の人がたくさん利用している感じがあり、それもまたいいなーと思いながら浸かっています。清潔感もあり、一生懸命清掃をされているのをよく見かけるので、そういうところも好感ポイント!

画像提供:みなと湯

ここの銭湯は駐車場が充実しているのも嬉しいポイント。大型車やキャンピングカーも停めることができる大型駐車場を完備しています。納沙布岬で日本の最東端に到達する前後にぜひ寄ってみてください!

みなと湯
住所:北海道根室市海岸町2丁目206
電話番号:0153-23-4450
営業時間:15:00〜22:00(日・祝10:00〜)
定休日:月曜日

 

駆け足で9つの施設を紹介したので、少し疲れましたかね?
疲れた!?すぐに温泉に入りましょう!笑

ご覧の通り、知床ねむろエリアの温泉は、泉質も良く、個性もあり、地域性を感じる温泉です。日本最東端地域の壮大な自然景色と豊かで、厳しくもある自然環境の中で浸かる温泉は、心にジーンとくるものがあります。

知床ねむろを巡る際は、ぜひ今回の記事を参考に、ここでしか味わえない温泉を体験してみてください。知床ねむろの旅に温泉を!

ライター/温泉ソムリエ

モール温泉とサウナをこよなく愛し、温泉やサウナの楽しみ方を広め、価値を高めるため活動中。温泉ソムリエ温泉分析書マスター。サウナ・スパ健康アドバイザー。サウナ・スパプロフェッショナル。

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北海道の東、道東地域を拠点に活動する一般社団法人ドット道東の編集部。道東各地域の高い解像度と情報をベースに企画・コンテンツ制作をおこなう。自社出版プロジェクト・道東のアンオフィシャルガイドブック「.doto」などがある。

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