北海道といえば、青い空にどこまでも広がる草原!生まれてからこれまでずっと道東で暮らしている筆者も、夏の北海道には毎年感動を覚えます。
「もっと広い草原を見に行きたい」という気持ちを建前に、「おいしいグルメと出会いたい」本音を胸に抱き、車を別海(べつかい)町に向けて走らせました。
Contents
見渡す限り牧草地!絶景スポット「新酪農村展望台」
知床の東の玄関口、根室中標津空港から車で30分ほど走ると、「人口の7倍の牛がいる」別海町に到着。
まずは街から少し外れた場所にある、新酪農村展望台でおいしい空気を胸いっぱいに吸い込みます。晴れた日には360度パノラマビューの展望台から知床連山や風蓮湖も望める絶景スポット。
牧草地に目をやると、ちょうど牧草の刈り取りをしているトラクターが一台。さわやかな風に乗って訪れる草の香りが旅の気分を高揚させてくれます。
別海に来たなら絶対に食べたい!絶品「別海ジャンボホタテバーガー」
おいしい空気ではお腹が満たされない!ということで、新・ご当地グルメグランプリ3連覇達成、殿堂入りを果たしている「別海ジャンボホタテバーガー」を目当てにジャンボ双葉(双葉寿司)さんへ。
別海ジャンボホタテバーガーを名乗れるのは、次のルールに則ったバーガーのみ。
バンズは別海のパン屋「カフェ・オーク」が製造する、道産小麦とべつかい乳業興社、天然酵母を使用した四角いパンであること。中に挟むホタテは野付産のジャンボホタテを使用し、春巻きにすること。
そのほかにも、具材のモッツアレラチーズは森永乳業別海工場で作ったものを使うなど、地元の味を楽しむための10のルールが定められています。
みんなで作り上げたご当地バーガー
新・ご当地グルメとして2008年に誕生し、瞬く間に人気となった別海ジャンボホタテバーガー。このメニューはどうやって生まれたのでしょうか。双葉寿司の店主、日下さんにお話を伺いました。
日下さん「2008年に別海の牛乳に合う新・ご当地グルメを作ろう!ということで、別海の特産品の牛乳とホタテ、この2つを使ったバーガーを作ることにしたんだ。」
「新・ご当地グルメ開発メンバーの飲食店6店舗がそれぞれ自分なりのホタテバーガーを考えて、実際に作って持ち寄った。それらを食べて意見を言い合い、改良を重ねて作り上げたのが別海ジャンボホタテバーガー。」
日下さん「1年かけて作るつもりが、蓋を開けてみたら2〜3ヵ月でできちゃった。それだけみんなで集中して取り組んだからね。夜な夜なうちに集まって、試作と試食を重ねてさ。」
「このバーガーは、本当に別海のみんなで作り上げたと思っているよ。別海ジャンボホタテバーガーのルールに、”3種類のソースを各店オリジナルで用意する”というものがあるのだけれど、味噌ソースは農家の奥さんが『パンに合うよ』と紹介してくれたものだしね。」
日下さん「具材のホタテの調理法も一工夫しているんだ。よくあるフライやカツにするとホタテから出る水分で揚げ物用の油がすぐに汚れちゃう。春巻きに包んでみたら油の問題は解決したし、なにより味も食感もフライより良くなった。」
「できてみたら完成度が高くて、コンテストに出すとグランプリを取っちゃって。全国ご当地バーガーグランプリでは初代日本一、翌年も日本一になって、新・ご当地グルメグランプリ北海道では3年連続でグランプリを獲得して殿堂入りした。地域内外に広くファンのいるメニューなんだよ。」
別海町の方々が協力して生まれた新・ご当地グルメ。複数の具材とソースが詰め込まれたバーガーは、すべての食材と味が見事にマッチし、水を使わず、牛乳のみでこねあげられたバンズが優しい味にまとめ上げています。
食べる前は「ホタテを春巻きにしたらどうなるんだろう?」と興味津々だった、ホタテも春巻きも大好きな筆者。パリパリの春巻きの皮をバンズとともにひと度かじると、ホタテの旨みとプリプリ食感で口内がカーニバル状態に。
数々のコンテストでグランプリを獲得した意味を一瞬で理解し、ひと口でとりこになりました。
ジャンボ双葉(双葉寿司)
TEL:0153-75-2221
地元の人と出会える「ZICO HOUSE」でのんびりごはん
次に向かったのは、別海の老若男女が集まるコミュニティカフェ、ZICO HOUSE(ジーコ ハウス)さん。2016年にオープンして以来、地域の人々に愛されているお店です。
コロナ禍以前は、学習塾や子どもも大人も楽しめる各種教室・ワークショップ等も積極的に開催していたといいます。
母でもある筆者、子どもが小さい頃にこのようなお店が近所にあったら、足しげく通ったことでしょう。
「子ども連れでものんびり食事ができるように」と隅々まで工夫された店内は太陽光がよく入り明るく、気持ちよく過ごせるスペースとなっていました。
店内の一部には雑貨が所狭しと置かれていて、食事とともにショッピングも楽しめます。
「おすすめのメニューは何ですか?」と聞くと、スタッフさんは迷わず「全部!」と回答。ZICO HOUSEは食事、デザート、飲み物、すべてのメニューが豊富です。
いわく、「お客さんの『あれ食べたい』に応えていたら、自然とメニューが増えてしまった」とのこと。
2020年7月にもメニューを追加したと聞き、新メニューの中の一押し「本日のレディースランチ」をオーダーしました。
ワンプレートに彩りよく盛り付けられたおかずはどれを食べてもおいしく、何より体にやさしそう。野菜がたっぷりなのが嬉しいですよね。おかずは日によって変わるので、何度オーダーしても飽きずに楽しめそうです。
ZICO HOUSEで提供する料理にはできるだけ地元のものを使い、安心かつボリューミー、しかもお財布に優しい価格を実現しているそう。
地域の集まりや習い事、幼稚園・保育園、学校の帰りにフラッと気軽に立ち寄れるコミュニティカフェ。自分の時間をゆっくりと過ごすのに最適な、温かな空気が流れる場所でした。
ZICO HOUSE(ジーコ ハウス)
TEL:0153-74-8150
おおらかな空気とやさしさに触れながらグルメに舌鼓
別海町は多くの人が抱く北海道のイメージを詰め込んだような町でした。広大な自然に癒され、人のやさしさに心が温まり、おいしいグルメでお腹が満たされます。大自然に「ごちそうさま」と告げて、次なる旅へと向かいました。
オホーツク生まれオホーツク育ちのライター。現在は北見市在住。ウニとホタテと鹿肉、そして北海道の夏が好き。
羅臼町出身、札幌在住。海と海に生きる物が好きです。
Uターン移住した北海道札幌市在住のライター・編集者。おいしいものに目がない。趣味は家庭菜園とハーブティー。