雄大な自然と共生する知床・羅臼(らうす)町。オホーツク海に面するこのまちでは、さまざまな海産物を楽しめます。
「北海道といえば」の代表格であるカニやホッケ、鮭はもちろん、高級なウニやブドウエビも水揚げされています。
季節によって獲れる魚介が変わるため、訪れる時季によって異なる味を楽しめるのも羅臼の魅力のひとつ。
今回は夏真っ盛りの羅臼で、海鮮グルメ大好きライター・高橋がたくさんの海の幸を堪能してきました。
Contents
根室中標津空港から羅臼へいざ出発!
旅の目的は羅臼の絶品グルメ!知床の東の玄関口である根室中標津空港に降り立ったら、すぐさま羅臼に向かいます。
国道272号線から中標津の平地を抜けると、眼前に広がるのは海と空。海沿いを行く爽快ドライブのはじまりです。
中標津側から羅臼に入ると、右手に「知床羅臼八景 峯浜パーキング」が見えてきます。天気が良ければ、知床連山と国後島を一望できる絶景スポット。
ここまで来たら羅臼の中心街はもう少し。一休みして、目的のお店まで一直線!
知床食堂の地元グルメで小腹を満たす
ほどなくして道の駅 知床・らうすに到着。時計を見ると午後3時。グ~ッと鳴るお腹の指示に従って、軽食をとることにしました。
道の駅 知床・らうすの中には、羅臼の海の幸・山の幸がメニューにずらりと並ぶ「羅臼の海味 知床食堂」があります。
メニューには海鮮丼にラーメン、定食や鹿丼に生カキまでそろう充実ぶり。
しかし今日のお目当ては、この「ホッケフライバーガー」です。
羅臼産の真ホッケをフライにして、特製タルタルソースとともにふわふわのバンズで挟んだホッケフライバーガー。
見た目こそボリューム感はありますが、バンズの軽さ、ホッケフライのサクふわ感、タルタルソースの酸味でさっぱりと食べられる逸品です。
食べた瞬間のやさしい食感と味に思わずホッ。ドライブ疲れも吹き飛びます。
羅臼の海味「知床食堂」
夜は地元に愛される店で一献
周辺を観光して気づけば日が暮れ始めました。夕焼けに染まる海を後にして、飲食店が連なる中心街に向かいます。
あたりを見渡しながら歩いていると、雰囲気のいいお店を発見。早速のれんをくぐります。
どこか懐かしいような空気感の店内。「いらっしゃい」と迎えてくれたのは女将さん。調理場の大将と夫婦2人で「四季の味 いわみ」を切り盛りしているそうです。
気兼ねなく「仕事帰りの一杯」を楽しめる場所として、地元の人にも愛されているといういわみさん。
「羅臼でお店を始められたのはいつ頃ですか?」という質問を皮切りに、女将さんがさまざまなお話をしてくださいました。
女将さん「もともと夫の兄がこの店をやっていてね。ここに来る前は釧路にいたんだけど、平成6年にここを夫と私で引き継いだの。だからもう25年以上になるわね。」
女将さん「羅臼はいろんな魚が獲れるから、旬の魚介を新鮮なまま楽しめるようにたくさんの種類が入ったお刺身とかね、提供していたんだけど。」
高橋「提供していた、というと?」
女将さん「今はメニューを縮小して営業しているの。刺身とか海鮮丼とか生ものをやめて、天丼・はも丼とか、串ものといった一部のメニューだけにしてね。新型コロナウイルス対策という面もあるけれど、そもそも羅臼の名物とされてきた魚の水揚げが減ってきているのよ。」
「うちの刺身盛りは種類も豊富だし、それをそろえようと思ってもモノがないとね。メニューを戻すのは、また新鮮な魚介がたくさん手に入るようになってからだね。」
今のメニューのおすすめは羅臼のハモを使った「はも丼」とのこと。
一見するとうな重のよう。ハモといえば「小骨」のイメージですが、羅臼のカラスハモはアナゴの一種なので骨切りの必要がありません。
脂がのりふんわりとした身に甘辛いタレ、これは箸が進みます!お酒にもぴったりの味です。
お腹も心も大満足。後ろ髪を引かれる思いでお店を後にして、羅臼の旅1日目を終えました。
四季の味 いわみ
TEL:0153-87-4319
羅臼に来たならやっぱりコレ! ぜいたく尽くしの海鮮ランチ
旅の2日目、ランチに選んだのは海沿いにある「羅臼丸魚 濱田商店」さん。
濱田商店は食事スペースの奥に加工工場があり、魚やカニを捌くさまを間近で見られる、体験型の飲食店です。
店内には売店コーナーもあり、一夜干しや羅臼昆布を購入できます。売店の商品は地方発送も可能です。
「いらっしゃいませ」と、出迎えてくれたのは店主の濱田さん。この時期はトキシラズ(時鮭)がおいしいという情報を事前に仕入れていたので、迷わず時鮭定食を注文。さらに思い切って、タラバガニもオーダー。
「どうぞ、加工風景も見ていってください。」というお言葉に甘えて、加工工場に足を踏み入れます。
いけすから出たカニに驚き、捌くスピードにうなり、どんどんと上がるテンション、鳴るお腹。かつてないほどにワクワク感が止まらないランチの待ち時間です。
「おおー!」と思わず感嘆の声が上がります。次は時鮭定食の鮭を捌いてもらうことに。
プロの技に見とれた後は、それぞれをおいしくいただきます。まずはタラバガニから。
食べ応え満点、肉厚でジューシーなタラバガニ。直前まで生きていたカニを茹でたからこその味と食感です。
とても濃厚な味わいのカニみそは、「カニみそに酒や水を足さない」濱田商店のこだわりによるもの。
知る人ぞ知る珍味、甲羅の内側にあるふんどしは1尾から1枚しかとれない貴重な部位で、独特の食感と旨みを持っています。一度味わうとハマってしまう人も少なくないのだとか。
美しい色と芸術的な縞模様にうっとり。ちょうどよい脂乗りでご飯も進みます。
絶妙な塩加減の焼き時鮭なら、これだけでお茶碗2杯は食べられそう。刺身と合わせてご飯3杯分の”空き”を作ってから行くことをおすすめします(笑)。
「もし季節によってメニューが変わるなら、また違う時期に来たい!」海鮮グルメ好きな筆者は、濱田さんにメニューについて伺いました。
濱田さん「メニューは通年オーダーできるカニやホッケ等の定番のほかに、季節(漁期)によって変わる季節限定メニューを用意しています。」
「冬から初夏はウニが、夏はトキシラズやブドウエビなどがメニューに並びます。関東や関西、九州からいらっしゃったお客様は、『せっかくだから』とブドウエビを注文される方も多いですよ。」
次は大好物のウニが食べられる初夏に羅臼を訪れようと心に誓いました。
羅臼丸魚 濱田商店
母なる海の恵みに感謝した2日間
ホッケフライバーガーにはも丼、タラバガニに時鮭定食と、素材から調理方法まで異なるさまざまな海の幸を堪能した2日間。
羅臼町は根室中標津空港から少し離れた場所にあり、車で移動すると街の中心部まで1時間ほどかかります。
羅臼に向かう際はレンタカーを利用して、中標津の平野や知床の山、オホーツクの海を眺め、北海道を味わい尽くしましょう。
オホーツク生まれオホーツク育ちのライター。現在は北見市在住。ウニとホタテと鹿肉、そして北海道の夏が好き。
羅臼町出身、札幌在住。海と海に生きる物が好きです。
Uターン移住した北海道札幌市在住のライター・編集者。おいしいものに目がない。趣味は家庭菜園とハーブティー。