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ガイド同行ならビギナーだって絶対に楽しめる! 野鳥の聖地 根室で一泊二日のバードウォッチング

北海道の東の最果て、知床ねむろは野生動物と野鳥の楽園です。そんな中でも本土最東端に位置する根室は、毎年バードランドフェスティバルを開催するほど、野鳥観光のメッカなのです。

ですが、 それを知ってはいてもバードウォッチングって少しハードルが高い気がします。どうやって楽しめばいいのかもわからないし、高価な道具を揃えるのもちょっと勇気がいる……。

今日はそんなハードルの高さを感じている皆さんに向けて、「ビギナーでも楽しめる根室バードウォッチング」をイメージできるように取材してきました。

バードウォッチングについて右も左もわからない状態ですが、専門家にガイドしていただくので心強い限り!それでは、先入観なしに楽しんできたいと思います!

花咲港

バードウォッチングのビギナーは、本格的な図鑑を見たこともなければ、双眼鏡を(ちゃんと)使ったこともありません。そのため、専門家指導の下でしっかりと視度調整した双眼鏡のクリア度合いに、まず衝撃を受けます。初心者にとって「ぼやけていない……!」「くっきり丸い円に見える……!」それだけで感動を覚えるレベル。

最初から動く野鳥を対象に試すのは難しいので、指示に従って灯台相手に調整し使い方を学び、バードウォッチングの最重要アイテムである双眼鏡に慣れ親しむことから始めていきます。

(このカッコいい望遠鏡の操作はまだ早いので、ガイドさんに合わせてもらったのを覗かせてもらいます)

まずはこの花咲港で、ポピュラーな海鳥を探します。ざっと見渡しただけで、種類はわからないまでも鳥の姿は確認できるので、森の中と比べてビギナーにも優しい。

「ウミアイサ」 画像提供:Nemuro Field Note

最初に識別できたのは、特徴的な髪形が素敵な「ウミアイサ」。ツンツン頭のおかげで識別がしやすいカモの仲間です。記念すべき1匹目には最適ですね。

周辺を車で回り、野鳥の姿を探します。こうした断崖にも、溜まった水を飲みに来る鳥がいると聞き、目を凝らします。これは移動中も全然気が抜けない。

「オオセグロカモメ」 画像提供:Nemuro Field Note

そしてたくさんのカモメがとまっている岸壁に到着。ビギナーからしたら全て同じ種類に見えるのですが、当然のようにカモメにも種類があるとのことで、その違いを探します。……だけど最初は全然わかりません!

図鑑を見せてもらいながら比べてみると、確かに体の色の違いに気が付きます。黒い部分がしっかり黒いものと、グレーっぽい少し薄いものと、白っぽいもの。図鑑で見るとなんとか判別できるのですが、実際の鳥たちで比べてみると、これがかなり難しい……。

この時点ではまだ「識別ができるようになった!」とは言えませんが、ポイントがわかっただけでも大きな成果。頭の中で何度も復習しながら、次のスポットへ向かいます。

<花咲港で見られた主な野鳥>
オオワシ、オジロワシ、ウミアイサ、クロガモ、オオセグロカモメ、ワシカモメ、シロカモメ

友知~歯舞~珸瑤瑁

花咲港でバードウォッチングの基本について学び、数種類の海鳥を観察した後は、そのままの流れで根室半島の太平洋側をなめるように進んでいきます。

「シノリガモ」 画像提供:Nemuro Field Note

友知(ともしり)漁港で出会ったのはシノリガモ(英名「ハーレクインダック」)。鮮やかな模様が特徴的で、見ているだけで凄く楽しい鳥です。野鳥の世界にも、こんな前田慶次みたいな傾奇者がいるんですね……。

そもそも、こんなに身近な場所にこんなにも知らない世界が広がっていたことに驚きます。鳥と言えば「カラス」「カモメ」「スズメ」くらいのレベル感からスタートしているので、すぐに多様な鳥の姿を見られることは感動モノ。虜になる方々がいるのは当然なのかもしれません。

漁港巡りの途中に、歯舞漁業協同組合の直売所「昆布食品館」に寄り道。風が冷たい時期のバードウォッチングなので、「はぼまい昆布しょうゆあめ」をなめ、「浜のかあさん手作り揚げこんぶ」をポリポリしてカロリーを摂取し、鳥を探す集中力を切らさないように補給しながらいきます。

珸瑤瑁(ごようまい)ではオジロワシの姿も見ることができました。羅臼の流氷バードクルーズや、風連湖で見る姿とはまた違った感動があります。

<友知~歯舞~珸瑤瑁で見られた主な野鳥>
シノリガモ、オオセグロカモメ、ホシハジロ、ヒメウ、オジロワシ

納沙布岬~温根元~トーサムポロ

日本の本土最東端である納沙布岬に到着すると、まずはバーダー御用達のお食事処「東灯(ともしび)」へ。

冷え切った体を芯から温めるべく、そして根室らしいメニューに心惹かれて「歯舞昆布ラーメン」をチョイス。他にも北海道らしい「行者ニンニクラーメン」やバーダーに人気の「しょうがラーメン」もあってどれも食べるか迷うこと必至ですが、絶対にどれを食べても間違いないのだろうな……という安心感があります。

そしてどうしても気になった花咲ガニ丼。今回の旅はグルメがメインではないと言いつつも、やはり旅先の食事は楽しみの一つ。いただいた花咲ガニ丼は、花咲ガニ版の親子丼?のような感じでほっこりおいしいお料理でした。

おいしい料理でしっかりと身体を温めた後は、納沙布岬灯台のすぐ後ろにあるハイドへ。

ハイドはイギリスで生まれた「野鳥観察舎」のこと。野鳥を驚かせずゆっくりと観察することができる設備です。強風が吹きつける納沙布岬で長時間のバードウォッチングは物理的に難しいですが、このハイドがあれば安心なのです。

ハイドからの景色。水平線の向こうには北方領土の姿も確認できます。(双眼鏡で除くと建物の姿も見えるほどです)

「コオリガモ」 画像提供:Nemuro Field Note

「ヒメウ」 画像提供:Nemuro Field Note

モノトーンの配色が美しいコオリガモや、断崖に陣取ったヒメウの群れなど、ここでも多くの野鳥に出会うことができました。

シルエットでしか見えない状態でも、首の長さや羽の形をじっくり観察して、教えてもらった知識をフル稼働して「これ!」と予測を立て、それが見事に的中した時の嬉しさと言ったら……。これがビギナーがまず最初に感じる、バードウォッチングハイなのかもしれません。

<納沙布岬~温根元漁港~トーサムポロで見られた主な野鳥>
アカエリカイツブリ、オオセグロカモメ、コオリガモ、ヒメウ、キンクロハジロ、ウミアイサ、ユリカモメ、スズガモ、マガモ

明治公園

ここで、初日の最終スポットである明治公園へ。日本の歴史公園100選にも選出されたサイロが特徴的な公園で、市民の憩いの場でもあり、バードウォッチングのスポットでもあります。

先ほどまでの海鳥とは少し趣を変え、ここでは森の中で野鳥を探します。ここでの目的は……みんな大好き「シマエナガ」!

(納沙布岬の売店で「シマエナガさんのこな雪ポルボローネ」を買って願掛けもしたので、間違いなく出会えるでしょう……)

ここにもハイドがあるので、ゆっくりと中から観察します。

ずっと観察していると、時おり野鳥がやってきます。海鳥と違って動きがかなり素早く、さらに木や草に隠れて見えづらいので、上級者向けに感じます。

「ゴジュウカラ」 画像提供:Nemuro Field Note

ここでシマエナガは見ることはできませんでしたが、代わりにゴジュウカラの姿を確認できました。小さくて可愛らしい……。

ハイドの中には野鳥の説明が掲示されていて、中には名前の由来なども書かれているのですが、同じ仲間のシジュウカラの説明がすごく興味深いのです。「雀を40羽つかまえると貧しくなる、早死にする」的なことが書かれていて、もちろん諸説ある話なのですが、名前の由来を知ることも、バードウォッチングの一つの楽しみなのかもしれません。

ハイドを出て、今日はシマエナガはいないかな……と少し残念に感じながら林の中を歩いていると……。

「シマエナガ」 画像提供:Nemuro Field Note

いましたシマエナガ!

しかも1羽だけではなく数匹です。動きも素早くてビギナーには双眼鏡で追うことは難しかったのですが、肉眼で見れるくらい近くに現れてくれました。実はまともに見ることができたのは初めて。もしかしたらビギナーズラックもあったかもしれませんが、根室でシマエナガを見るなら明治公園です!

<明治公園で見られた主な野鳥>
ゴジュウカラ、ハシブトガラ、ヒヨドリ、シマエナガ、コゲラ、キバシリ

どりあん~ホテルねむろ海陽亭

ガイドさんといったん別れ、二日目のバードウォッチングに備えて夕食を。

根室のご当地グルメであるエスカロップは、体力勝負な漁師さんが多い港町根室で、素早く食べて満腹になれるワンプレート料理として根付いた食文化(これも諸説あり)。実はこれ、素早く短時間でかき込めるし意外と体力勝負なバードウォッチングとも親和性がめちゃくちゃ高い料理なのでは?

そしてホテルねむろ海陽亭に宿泊します。

キャンペーン中だったので、バードコールと「ひとめでわかる北海道の海鳥」をいただきました。さすが野鳥の楽園根室。ありがたい心配りですね。

海陽亭は豪華な朝食が魅力のお宿。自分で作る「根室勝手丼」と「根室鍋」で体力を全快にしたら、根室バードウォッチングの二日目が始まります。

春国岱ネイチャーセンター~小鳥の小道

二日目は根室の人気スポット春国岱にあるネイチャーセンターからスタートします。数多くの展示があるので、まずはここで情報収集とトイレ休憩を。

春国岱の地形の成り立ちや、野鳥の生態なども学ぶことができます。

ネイチャーセンターのすぐ目と鼻の先にある散策路「小鳥の小道」へ。

ここは昨日の明治公園に引き続いて森の野鳥が見られますし、海にも接しているので海鳥も見られます。水陸兼ね備えたハイブリッドなバードウォッチングスポットです。

森の中を歩いていると、時おり顔をのぞかせるエゾシカがいたり、強風で根こそぎ倒れた大きな木を目にします。バードウォッチングじゃなくても、ここを散策するだけですごく癒しを与えてくれる場所。

ですが今回の目的は野鳥。自然の営みに身をゆだね、野鳥の声にひたすら耳を傾けます。

「アカゲラ」 画像提供:Nemuro Field Note

ここではアカゲラなど、昨日の明治公園で出会えた野鳥とはまた違った種類を見ることができました。海陽亭でいただいたバードコールを鳴らしたのが功を奏したのでしょうか?

続いて、今回のバードウォッチング一泊二日を締めくくる大物に会いに、風連湖に向かいます。

<小鳥の小道で見られた主な野鳥>
ホオジロガモ、ユリカモメ、アカゲラ、コゲラ、ゴジュウカラ

風連湖(東梅~川口)

風連湖のほとり、東梅(とうばい)にあるハイドで、風連湖に集まるオオワシとオジロワシを探します。まさに今回のハイライト!

肉眼ではほとんど見つけることができませんが、双眼鏡で対岸の林の中を見てみると、たくさんのオオワシ・オジロワシが羽を休めていることがわかります。

もう少し近くで彼らを観察する可能性にかけ、車で数分の川口(かわぐち)に向かうことに。その前に食事を摂りに街まで戻る……と思いきや。

時間が惜しいのでランチは食べに行かず、途中のタイエーで買い込んでいた軽食をハイドでさっと食べてお腹を満たします。なんだか少しいっぱしのバーダーになった気分がしますね。それにしても根室での行動食はオランダせんべいが似合います。

川口に着くと、さっそくオオワシやオジロワシを見ることができました!木にとまっている姿は本当に絵になります。ここまでくると双眼鏡の使い方も慣れたもの。じっくりとその雄姿を観察します。

「オオワシ」 画像提供:Nemuro Field Note

「オジロワシ」 画像提供:Nemuro Field Note

両者とも、この王者の風格が素晴らしいのです……。

今回の旅は鳥の写真撮影ではなく、あくまでもバードウォッチングがメイン。撮影のことを考えず、ひたすら自分の目で鳥たちの生態を観察すると、いろんな気付きがあって面白いものです。

<風連湖(東梅~川口)で見られた主な野鳥>
オオワシ、オジロワシ

果たして、一泊二日の根室バードウォッチングの鳥果は?

釣果(ちょうか)みたいに勝手に鳥果(ちょうか)と言っておりますが…。果たしてその結果は!

<今回の根室バードウォッチングで見られた主な野鳥>
オオワシ、オジロワシ、ウミアイサ、オオセグロカモメ、ワシカモメ、シロカモメ、ユリカモメ、ホシハジロ、ヒメウ、アカエリカイツブリ、キンクロハジロ、クロガモ、シノリガモ、コオリガモ、ホオジロガモ、スズガモ、マガモ、ゴジュウカラ、ハシブトガラ、ヒヨドリ、シマエナガ、アカゲラ、コゲラ、キバシリ 【合計24種】

根室で見ることのできる鳥の種類は全部でおよそ400種類と言われていますが、今回のようにビギナーが一泊二日で見ることができた種類としては、大成功ではないでしょうか? 当然のことながら一人では絶対に無理ですが、専門家の方にガイドしていただいた甲斐がありました!

初めての体験ばかりでしたが、鳥たちの仕草一つとっても非常に新鮮な気持ちで観察することができましたし、鳴き声に耳を澄ませて周囲を凝視する時間は、なんだか心が豊かな時間の過ごし方だと感じました。空気のきれいな場所を歩き、美しい景色を見る時間は、精神的にも身体的にも健全で健康的。

そして識別のポイントがわかってくると、学んだ知識を総動員して考える楽しさや、それが見事にハマった時の快感は格別でした!

バードウォッチングの聖地である根室で過ごす一泊二日。鳥たちの姿に魅せられる旅にチャレンジしてください。

 

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知床ねむろ観光連盟 事務局長。知床ねむろマガジン編集長。北海道の最果ての地「知床ねむろエリア」で知床ねむろエリアの、そして道東コーディネイターをしています。

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「知床ねむろマガジン」編集部。知床ねむろエリアが持つ潜在的な魅力を掘り起こし、お伝えしています。

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