どうも初めまして、シンゴマーティンと申します。北海道根室市で生まれ育ち、普段は地元の根室市を拠点に音楽活動をしています!
本日は「地元で育った人間だからこそオススメしたい根室市のグルメ」をテーマに、根室市民を代表しておすすめグルメをご紹介します。
実は根室市にはチェーンの飲食店がほとんどないのです。どこの街にもあるであろう有名なファミレスや居酒屋も全然ありません。だからこそ「根室の味で育った!」と胸を張って言えます。
そんな根室人が愛する地元民ならではの根室グルメを、生まれて33年そこそこに根室で酸いも甘いも味わってきた僕が、地元の味を皆さんにお伝えしていきたいと思います!
根室に観光や出張で来た皆さん、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
根室と言えば海の幸!カニも刺身も『魚河岸〜浜作〜』
地元民が紹介する地元の名店!と銘打つとアンダーグラウンドで知る人ぞ知るお店が紹介されるイメージですが、まず最初に紹介したいのは完全にオーバーグラウンド!海の街・根室の代名詞「海鮮」でございます。
観光で訪れる方の多くはこの「新鮮な海産物」を求めて根室を訪れることだと思いますが、地元民だって海産物が大好き!カニ、ウニ、サンマ…大好きです!
ということで1件目は「北海道といえば!」な海産物をいただける居酒屋さんへご案内!根室の繁華街・広小路、その始まりに位置するキレイなビルの一角にあるのが『魚河岸〜浜作〜』(うおがし はまさく)です。
根室で水揚げされた海産物を中心にさまざまな海の幸を新鮮な状態で提供してくれる名店です。
観光や出張で来られた方から「カニ食べたい」「魚が食べたい」と言われれば一番最初にオススメするお店です。なんなら「カニ食べ…」ぐらいですぐ「浜作っ!」と食い気味で答えるくらいに信頼しているお店です。
ということで早速注文の品がテーブルに。
すぐにカニをいただきたいところですが、まずは定番の「刺身盛り合わせ」から。
お好みで4種類の刺身を選び皿に並べてくれるのですが、それでこのお値段!ありがたや〜。悩んだ末に選んだのは根室で水揚げされたホタテと真つぶ!そして本マグロとしまあじをチョイス!
根室で水揚げのないマグロやしまあじもお刺身で食べられるのは、地元民にとっても嬉しいことこの上なし!
そして冬場が旬!「タチの天ぷら」です。
「タチ」とはタラの白子のことで、真タラや助宗タラの白子を「タチ」と呼びます。プニプニしているというかフワフワしているというか…なんとも形容しがたい食感ですが、食べると口の中でとろけるくらい柔らかいのが特徴。
冷凍保存ができない食材なので、秋〜冬場の決まった時期にだけ食べることができるレアな食べ物です。
冷凍できない食材と言えばウニもまさにそう。これが新鮮な状態でいただけるのは産地の強み。生ウニの刺身は最強の贅沢品です!
男2人でもけっこうな満足感。お腹は程よく胸いっぱい!な感じになってきましたが、まだまだ満足するなかれ。
目玉のカニが待っているのです!
「大将とは遅れて登場するものだ……。」と、そうこうしているうちに来ました!絶対紹介したかったコチラ!
これがめちゃくちゃ美味しいんです!うまーい!来店したら必ず注文する浜作イチオシメニューでございます!
ちなみに刺身があるなら日本酒でしょう!ということで根室の地酒である『北の勝』。その中でも幻と呼ばれ入手困難な激レアなお酒『搾りたて』がちょうど入荷したとのことでいただくことができました!
芳醇なほどよい香りとやわらかな口当たり、最高すぎる!
美味しいお酒をお供に新鮮な海の幸をいただく。すでに幸せの絶頂!映画タイタニックならすでにジャックとローズが船首であのポーズ決めてます!
それぐらい絶頂ですが、紹介したいお店はまだまだある。更なる幸せの絶頂を求めて食べ歩いていきます!ご馳走様でした!
魚河岸〜浜作〜
住所:北海道根室市梅ケ枝町3丁目26
TEL:0153-24-5876
根室で最も古く愛されるラーメン屋・浅草軒
さて!次に訪ねたのは『浅草軒』というラーメン屋さんです。根室市民なら知らない人はいないであろうこのお店。なぜなら根室でもっとも老舗のラーメン屋さんだからです。
老舗も老舗でなんと昭和9年創業!88年の歴史を誇る根室のラーメン専門店!
専門店の名の通りスープは醤油と塩のみで、種類は普通と大盛りのほかに、チャーシュー麺とワンタン麺。そしてライスとおにぎりだけというシンプルラインナップ。
麺は自家製麺でチャーシューも店内でイチから手造り。1杯食べても飽きないあっさりな昔風ラーメンです。個人的にこの細いメンマが大好きです。
なんでしょう……どんぶりを真ん中で区切ってハーフ&ハーフとかできないもんですかね。できることなら毎回2つの味を楽しみたいなーと好き勝手に妄想しています。
昔風のラーメンという呼び方が正解かは分かりませんが、個人的にはコショウを振って食べるラーメンを勝手に昔風と呼んでいます。
何を隠そう、実はラーメン大好き人間の自分。旅行に行くと毎食ラーメンを食べるくらいのラーメン愛深き人間なんですが、家系・次郎系・魚介豚骨・油そばなどなど色々と食べてきました。
都会にあるラーメン店は入れ替わりが激しく、昔ながらのラーメン店がどんどん減っていっている印象があります。実際「浅草軒のようなラーメンがなかなか食べられない」と友人からもよく耳にします。そんな話を聞くと、この味のラーメンが食べたい時に行けるというのはとても幸せなことなのかもしれない……。なんていうことを根室にいていつも感じているのです。
<ラーメン愛溢れるシンゴマーティンの「ラーメン講座」>
ところでさっきから昔風と言いまくってますが、昔風も当時は立派なハイカラ(死語)だったわけで……。実は近代ラーメン史を紐解くと驚くことにこの浅草軒は日本のラーメン店の中でもかなりの老舗なんです。『淺草 來々軒』というラーメン屋が東京・浅草にオープンしたのが明治43年。ここから日本最初のラーメンブームが巻き起こり、北海道では大正12年に札幌ラーメンの元祖『竹家食堂』が営業開始します。そのわずか11年後の昭和9年に根室で浅草軒が開店。九州で初のラーメン店『南京千両』というラーメン屋がオープンしたのが昭和12年なので、なんと九州初のラーメン店よりも早く根室にラーメン屋があったんです!まさにハイカラ(2回目)で当時の人はこぞってこの浅草軒にラーメンを食べに来たのかなーなんて想像します。令和の時代まで営業しているこの浅草軒はまさに根室の歴史を知る上で貴重なお店だと思います。
現在は4代目の店主さんが店を切り盛りしているのですが、その息子さんもお店を手伝っていて、いずれ5代目になるという話を聞かせてくれました。浅草軒の味がいつまでも続いていくよう祈っております!
ご馳走様でした!
浅草軒
住所:北海道根室市梅ケ枝町3丁目23
TEL:0153-23-2415
ご当地グルメ「エスカロップ」と地元民が泣ける話
その土地の名物と言えば、皆さんは何を思い浮かべるでしょう?海産物や農産物、畜産物などその土地の環境や風土の恵みを思い浮かべる方も多いでしょうが、どの土地にでも必ずあるのが「ご当地グルメ」。
その地域の文化を基に独自の発展を遂げてきた(ちょっとカッコ良く言いました)その土地ならではの食べ物で、街の飲食店で気軽にいただける。そんなご当地グルメが根室にもありますとも!!
その名もエスカロップ!
細かく刻んだタケノコを一緒に炒めたバターライス。その上にカツを乗せてデミグラスソースをかけたものが「エスカロップ」です。根室をご存じの方は、その名前を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
根室にはエスカロップの他にも「オリエンタルライス」や「パンチライス」というご当地ソウルフードがあるのですが、どれもがっつり系のワンプレート料理なんです。素早く食べて満腹になれるという共通点は体力勝負な漁師さんが多い港町だから根付いたフードなのかもしれません。
そんな根室のソウルフードを提供するお店は市内に数店舗ありますが、本日は看板店でもある『どりあん』にお邪魔しました!店主の小滝さんとは古くからの知り合いで大変お世話になっているのですが、観光客や有名人が訪れるお店としても市内では有名で、小滝さんが取材を受ける様子をたびたび目撃することも。
しかし!今回は「根室人シンゴマーティンと行く!」と銘打ったからには、エスカロップだけじゃない『どりあん』の魅力を新たな角度で紹介したい!ということで地元の方にもあまり知られていない隠れ名物をピックアップします。
『どりあん』では全ての食材はもちろん、エスカロップの屋台骨「デミグラスソース」も自前で仕込んでいます。そのこだわりのデミグラスソースを作る際に煮込んだ牛肉と野菜を使用したビーフシチュー。これが最高なんですよ。
長時間煮込まれた牛肉がとても柔らかくて美味しい!エスカロップやオリエンタルライスの味の決め手「デミグラスソース」の源泉とでも言うべきシチューは濃厚で絶品です。ぜひ食べてほしい!
そしてもう1つ紹介したいのがカレー。根室で食べるカレーは、理由は定かではないですがなぜか甘口が多い気がします。そんな根室の伝統の味がする「ビーフカレー」は、口当たりがまろやかで子どもから大人まで食べられる程よい甘さが魅力です。
そして昭和44年創業以来の味を守り続ける店主の小滝さんが、腕を見込んで新しくシェフにお迎えした千葉隆晴さんのストーリーを聞いて、さらに『どりあん』が好きになりました!
根室市出身の千葉さんは、東京や札幌で腕を磨いた経歴を持つ料理人。子どもの頃から『どりあん』に通っていたという生粋の根室っ子です。2021年に地元根室へUターンし、今はこの店の後継者として、奥さんと共に『どりあん』の味を受け継ぐため奮闘しているそう!
根室で生まれて根室のグルメを愛しその味を守るためにまた根室へ帰って来る。最高なストーリー過ぎます……。(地元民感涙!)
根室に来たからには1度は食べてほしいエスカロップ。そして2度目はぜひビーフシチューや甘口カレーなど『どりあん』ならではの味を堪能してみてください。
ご馳走様でした!
どりあん
住所:北海道根室市常盤町2丁目9
TEL:0153-24-3403
僕が7歳から愛する成央橋のたこ焼き屋
次に紹介したいのは繁華街から離れた住宅地の中に店を構えるたこ焼き屋さんです。完全に僕の想い出巡りみたいになっていますが、地元民が愛した味をぜひ知ってほしい……!
『成央橋のたこ焼き屋』という愛称で根室市民に親しまれて早ウン十年。まさにローカルの名に相応しいお店。近くには自分の通っていた学校があり、まさに通学路だったので小さい頃から馴染みのあるお店です。
「いつからあったっけなー」「店の名前ってなんだっけ……?」
成央橋……たこ……焼き………?
「え!なんだろう!!よくよく考えてみるとお店の名前知らない!いつからあったんだろう!!!」
確かに、物心ついた頃から親も友達も『成央橋のたこ焼き屋』と呼んでいたから考えたこともありませんでした。謎は深まるばかり。これでは紹介できない……というわけで、その疑問をハッキリさせるべく訪れることにしました。
やってきました『成央橋のたこ焼き屋』。
1年前に店舗を建て直して綺麗な佇まいですが、元々は板張りで昭和の風情が色濃く残る渋い建物でした。通学路に面したお店だからか、子どもたちが下校する頃に開店するお店なんです。そして店に近づくとすでにいい匂い〜!毎回、あの少年時代を思い出します。 そんな想いに耽りながら、メニューを見て何を買おうか考えます。
たこ焼きの他にも中にアンコが入った1口おやきやフレンチドッグ、数年前に始めたというチーズハドッグも。そそりますなぁ。
色々と迷いましたが、スタンダードな「たこ焼き」を注文。学生の頃を思い出しつつ即開け!いただきます!
「んまい!ん〜まい!!」
変わらぬ味です。タレは甘めでしょっぱすぎず、生地もプレーン。味の好みが違う人同士でも難なくシェアできそうなスタンダード感。これだよこれ、成央橋のたこ焼き屋の味だ!ご馳走様でした!
と普通に帰りそうになるも……思い出した!店の名前を確認しなくては!!目的を忘れて「久しぶりに母校まで歩こうじゃないか〜」の気分になってましたがダッシュで戻ります。
お話を聞かせてくれたのは店主の土屋さん。
正解はなんと……『たこ焼き屋』でした! え!?マジすか?もしやここがたこ焼き発祥の地なのでは?
事の経緯を詳しく聞くと、お店を始めたのが36年前。当初は屋台形式で市内の色んな場所でお店を開いていて、それから程なくして今の場所に店を構えたそう。その屋台の名残りから店名を大々的に掲げることなく今日まで営業してきたそうです。
たしかに夏祭りの露店も、個々の店名ってあまり目につかなかったりしますよね。結果的に『成央橋のたこ焼き屋』であってた気もするし違うような気もするけど、店名はなんであれみんなに愛されているのは間違いないのでオールオッケー!
ちなみに店主の土屋さんは子ども達の見守りボランティアとして、朝の登校時間と夕方の下校時間に店の前の交差点に立って誘導員をやっています。夕方から開店するのはそういう理由だったんですね。「店もリニューアルしたしまだまだやります!」と元気に言っていただきました。子どもたちをはじめ市民から大いに愛されている街のたこ焼き屋さんに大きな拍手を!
ご馳走様でした!
たこ焼き屋
住所:北海道根室市昭和町1丁目45
TEL:0153-23-4404
かにの水族館ってなに?マルショウ水産
根室食べ歩きツアーとしてお送りしています本記事。最後は面白い体験ができるということで、飲食店ではない場所にいくことにします。
根室市内を抜けて納沙布岬へ向かう街道を走ること15分。オホーツク海に面した海沿いにある『マルショウ水産』にお邪魔しました。
こちらはカニを取り扱う水産加工場で、根室を代表する「花咲ガニ」その他にも「タラバガニ」や「毛ガニ」など根室で水揚げされたカニを専門で取り扱っています。
実はこの『マルショウ水産』では、生きたカニと触れ合うことができる「カニ体験」というアトラクションを催している珍しい水産加工場なんです!
せっかく来たからには一番大きな「花咲ガニ」をゲットしようじゃないか!
慣れない作業になかなか苦戦します……。笑
これは大きな花咲ガニ!なかなか見ることのできないサイズ。さすがに大き過ぎてちょっとひるんでます。このサイズだと予算オーバーじゃないか……。
が、しかし!ゲットしたものをリリースするのは男じゃない!買います!買わせてください!!
真っ赤に茹で上がりました!こうして花が咲いたように真っ赤な色がつくことから「花咲ガニ」と呼ばれるようになったんだとか。(諸説あり)
今後は、茹でたてのカニをその場で食べてもらえるようなスペースを準備したいとのことでした。まさに地産地消ならぬ自補地消。(無理やり上手いこと言おうとしましたがなんて読むんでしょうか?「じほちしょう?」)
この「かに水族館」の発案者は社長の熊谷さん。6年前に脱サラをした熊谷さんは創業者から会社を受け継ぎ独立。カニ体験以外にもYouTubeやTikTokなどを駆使して一般客の需要を開拓している野心家です。新型コロナウイルスの流行を受け、取引先である飲食店の相次ぐ休業や閉店により売上が激減。なんとかしなければ!と試行錯誤した末に「一般のお客さんの需要を開拓しよう!」ということで始めたそうです。
生きたカニを自分で選んで、茹でたてをその場で食べることができる。海の街・根室の名にふさわしい水産加工場でした!ぜひ、マルショウ水産の「かに水族館」を訪れてみてください!
マルショウ水産
住所:北海道根室市牧の内114-1
TEL:0153-24-9118
全5軒のお店をご紹介した「根室人シンゴマーティンと行く!」根室グルメ。
食こそエネルギーの源。食こそがその街を知る一番の情報だと僕は思っています。
海の幸、そして海に関わって働く人たちに寄り添う形で発展してきた日本最東端の街・根室市ならではの食文化がこの街にはあります。
そんな根室の歴史までも知れるグルメ旅。この記事を見て興味を持った方は、次はぜひ自分の足で訪れて、そして自分の舌で確かめてみてください。最後までお読みいただきありがとうございました!
1988年根室市生まれ。高校時代に音楽に魅了されプロミュージシャンを志し高校卒業後は札幌へ移住。その後地元根室へUターン。2014年、音楽仲間と共に根室初のライブハウス「ハイワットホール」を創設。プロアマ問わず全国からアーティストが訪れる日本最東端のライブハウスとして評価を受けている。
北海道の東、道東地域を拠点に活動する一般社団法人ドット道東の編集部。道東各地域の高い解像度と情報をベースに企画・コンテンツ制作をおこなう。自社出版プロジェクト・道東のアンオフィシャルガイドブック「.doto」などがある。